桶川女子大生ストーカー殺人事件

 1999年に起こった事件である。
 被害者の詩織さんが加害者の小松和人と出会ったのは同年1月のことである。ゲームセンターで声をかけられ、優しそうな人だと思いそれ以後付き合うようになったのだが、小松はそのとき名前も年齢も詐称していた。また外車のディーラーをやっていると詩織さんには言っていたが、実際は兄とともに風俗店を7軒も経営していたのである。
 小松は羽振りがよく優しかったが、1ヶ月も経つとやがて地金が出てきた。彼女の行動を異様に束縛し、高価なプレゼントを無理に押し付け、返そうとすると怒鳴りつけた。
 次第に暴力的になり、病的な嫉妬心をみせるようになった小松に詩織さんは怯えた。
 3月に入り、詩織さんは小松と別れることを決意。しかし小松は頑として受け入れず、逆に「俺と切れるんならお前の家族をめちゃくちゃにしてやる」などと言って脅した。この時期、詩織さんは友人に
「殺されるかもしれない」と漏らしている。

 6月、耐えきれなくなった詩織さんはついに別離を言い渡す。これに逆上した小松は兄の武史を連れて、詩織さんの自宅を訪れると、両親に
「おまえの娘にさんざん貢がされた。その上アタマまでおかしくなった。賠償しろ、誠意をみせろ」
 と2時間にわたって脅迫。詩織さんはこのやりとりをテープに録音し、警察に提出したが、このとき桶川署署員は、
「これは民事ですね。われわれは民事不介入ですから」と門前払いを食わせている。
 これ以後、無言電話が頻繁にかかってくるようになり、また家の前で「出て来い!」などと怒号をあげられる、などということが相次いだ。
 幾度も警察に相談に行ったが、そのたび「しょせん、男と女のいざこざでしょ」、「いっぱいモノ買ってもらってますしね」などと言われ、取り合ってもらえなかった。(詩織さんは別離後、プレゼントはすべて小松に送り返している)


 7月に入り、詩織さんの顔写真と合成されたとおぼしき裸の写真がプリントされた、風俗店まがいのチラシが家の壁にずらりと貼られた。自宅だけでなく、近隣の家、詩織さんの大学、詩織さんの父の会社にも貼られていた。文面は「男を食いものにするふざけた女。不倫、援助交際なんでもこいの女」という誹謗中傷だった。
 警察は連絡を受けて事情聴取に来たが、「告訴はあとでもいいでしょう」と言って帰っている。
 8月になり、詩織さんの父の会社、ならびにその親会社に手紙やFAXが何百枚と届く。詩織さんが援助交際をしているとか、父親はギャンブル狂いで借金漬けであるとか、根も葉もないことで埋められていた。
 警察はこれを見て「いいコピー用紙使ってますね、ははあ、金かかってるな」とだけ言って帰った。

 9月、詩織さん宅は警察に告訴状を提出。しかし片桐敏男警部がこの事件記録を見て「被害届にしてもらえ」と部下に命令する。
 告訴を受理すると捜査の進み具合を定期的に県警本部に報告しなければならず、また成績が下がることを怖れて彼らは調書を書き換えて改竄。しかも詩織さんたちに、
「告訴状は犯人が捕まってからでも間に合います。また簡単に出せますから、いまは取り下げて下さい」
 と頼んだ。これは真っ赤な嘘で、実際には1度取り下げた告訴はもう2度と再告訴できない。意図的かつ悪質きわまりない捜査放棄であった。

 10月26日、詩織さんは駅前で、小松が金で雇った男に胸と腹を刺され、出血多量で死亡した。
 警察は事件の記者会見上で、詩織さんの服装について「厚底ブーツ」「プラダのバッグ」「ミニスカート」と一部を強調して発表。これを受けてマスコミは被害者である詩織さんについて、「ブランド狂」で「風俗嬢、もしくはキャバクラ嬢」と連日デマ報道した。これを見た視聴者はおのずと
「ブランド好きで、派手で、風俗でバイトしていた女。男にさんざん貢がせたあげくに冷たく捨て、逆上した男に殺された自業自得のあばずれ女」
 という印象を持った。いまでも当時の報道を信じ、彼女をそう認識している一般人は少なくない。

 12月、実行犯並びに小松の兄・武史をはじめとする3人が逮捕され、行方不明の小松が指名手配される。
 1月、小松が北海道で水死体となって発見される。自殺と断定された。
 4月、桶川署署員が正当な捜査を行なわなかったとして内部調査が入った。結果、片桐警部ほか2名が調書改竄などで懲戒免職、ほか6名が減給処分となった。

 5月、ストーカー規制法、成立。しかし代償はあまりにも高いものだったと言えよう。



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posted by オカルト・都市伝説 at 00:00 | 管理人オススメ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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