推理

544 :おいら ◆9rnB.qT3rc:2009/12/09(水) 01:36:47 ID:iYJ4qfoc0
知人の友達の「スズキさん」に直接会ったときの話。
宜しければ。

【推理】
1/4
「…彼、アシに入ったのは久しぶりですね」
大学時代にアシスタントのバイトをしていた漫画家先生の家で、同じアシ仲間の
モリヤマくんの話題になった。

彼は今、資料のコピーを撮りにコンビニに行っている。もうすぐ戻るだろう。
「なんか、別の仕事で忙しくなっちゃったみたいよ。色々飛び回っているみたい」
先生が、原稿とにらめっこしたままの格好で答えた。
「またしばらく来れなくなるって言ってたな」と別のアシさんが言う。

モリヤマくんが帰ってきた。あれ以来、彼は心霊写真を持って来ていない。
それ故かその週の原稿も無事完成し、その帰り際モリヤマくんはおいらにだけ、そっと
耳打ちをした。

「今度、スズキに会わせてやるよ」


545 :おいら ◆9rnB.qT3rc:2009/12/09(水) 01:37:26 ID:iYJ4qfoc0
2/4
「どうも。スズキです」
この人物がそうか。先日のモリヤマくんの心霊写真に写っていた、スズキさんだ。
心霊スポットで撮ったという彼の写真。その影は、まさに悪魔そのものだった。
それを先生が不用意に口走ったために、白いものが部屋に飛び込んで来て大騒ぎに
なったのだ。
ちょっと小太りの、失礼ながらサエない風体の、おじさんタイプのこの人。
年はいくつだろう?モリヤマくんと中学で同級だったということは、まだ大学生だ。
悪いが、これがまた信じられない。こんな疲れた大学生がこの世に居るのか?
モリヤマくんが以前言っていた「魂が半分」という表現。確かにそんな感じだ。

彼の肩から、何かが出たり引っ込んだりしているのが見えた。何だあれ?

その後、二人がよく使うという喫茶店に入り、奥の席に陣取った。定位置らしい。
店のウエイトレスさんとも知り合いのようだ。
先日とは違う大量の心霊写真を見せて貰いながら、どこら辺のスポットがいいか、
どのポイントを狙えばいいか…そんな話をしているのを横で聞いていた。面白い。

彼らはいつも二人連れだって、心霊スポットを巡っている。スズキさんとは必ず二人
だけで出掛けるらしい。
率先してスケジュールを立て、機材の準備をし、精力的に現地に行こうとするのは、
決まってモリヤマくんの方なのだという。それもかなり頻繁に。
そして、現地で暫く写真など撮ったあと、こういってモリヤマくんが帰宅を促す。
「なかなか会えないな…。今日はこれで終わり」といった感じ。
スズキさんは彼に只々、付いていくだけだそうだ。

そのうち、ウエイトレスのお姉さんが近付いてきて、モリヤマくん宛てに電話がかかって
きたことを告げた。仕事が追っかけて来ているのだろうか?
「ごめん、電話だって。ちょっと行ってくる。適当にやってて。この写真もあるからさ」
モリヤマくんは別の写真の束を取り出し、テーブルに置いて行ってしまった。
スズキさんとおいらは二人きり、向い合わせに残された。

546 :おいら ◆9rnB.qT3rc:2009/12/09(水) 01:38:20 ID:iYJ4qfoc0
3/4
適当にやってろと言われても、いま一つ場が持たない。気まずい。
モリヤマくんが置いていった束の中に、以前見た「例の写真」もあることに気付いた。
仕方がない。それを指さしながら、あの夜の話をする。
「いやー、実はこの前、バイト先でこの写真を見てたとき、凄い目に逢いましたよ」
「彼に禁止されていたのに、これを見た先生がまるで悪魔だ!って言いそうにーー」

はっとした。今、おいら自分で何て言った?
…ヤバい!この写真の話をしてしまった。ウッカリしていた…。
あいつがまた来る…。白く冷たいやつが…。身を硬くして待った。
…だがあいつは来なかった。

スズキさんが、ははと笑った。
「…はは、そうですよね〜。よくこの写真を見た人に言われてしまいます」
「それも僕が一人の時に、直接言ってくるんですよ。僕だって怖いし、ひどいですよね〜」
え…?いま、この人なんて言った?言われる?スズキさんが、直接?

「あの…ちょっと聞いていいですか?」
「はあ…」
「そういう風にあなたに言った人に、何か起こったりしてます?」
「いえ」
「その時…なにも起こらない?本当に?」
「後からよく言われるんですよ。あの写真は凄かった。まるで悪魔だったって」
「でもその後、その人に何かあったとかいう話は聞かないです」
スズキさんはキョトンとした顔だ。

おかしい。何か変だ。

547 :おいら ◆9rnB.qT3rc:2009/12/09(水) 01:39:46 ID:iYJ4qfoc0
4/4
おいら達はあの夜、「悪魔」と言いかけただけで、あいつに襲われた。
一方で、この写真をどうのこうの言っても、あいつには遭わない人がいる。
この二つの違いは何だ?頭の中で整理してみた。

状況は3パターンある。
1・先生の家では、居たのは先生とおいらとモリヤマ。居なかったのはスズキ。襲われた。
2・スズキさんが直接言われたときは、居たのはスズキとそれを言った人。居なかったのは
モリヤマとおいら。その人は襲われていない。
3・今さっきおいらが口走ってしまったとき、居たのは言ってしまったおいらとスズキ。
居なかったのはモリヤマ。今、彼は電話のために外にいる。で、これも襲われなかった。

スズキさんが原因とは考えられない。「2」と「3」の通り、彼に直接それを言っても、
あいつは来ないのだから。つまり、スズキさんが怒って呼び出している訳ではない。
…ということは、あいつはスズキさんに憑いているモノではない。ということか。

…。
あいつが来るとき、そこにいる人物が一人居る。
その人物が居ないとき、あいつは現れない。

モリヤマくんだ。
彼はあいつが来るのを止められないんじゃない。

彼があいつを呼んだのだ。
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posted by オカルト・都市伝説 at 19:00 | おいら | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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