新興住宅地で起きた事件で、新興住宅地の欠陥が現れたものとして、有名なピアノ殺人事件を取上げる。
これは1974年平塚市で起きた事件で、当時大変話題になった事件であり、かつ過去に繋がりのない人々が、団地という密集した形態で住むようになることの、様々な意味を問いかけた事件である。
事件が起きた割りには、そこで提起された社会的意味は、あまり問い直されることなく、
ますます事件の背景になった要因は肥大化してきているようにも思われるので、現在取り上げる価値があるだろう。
事件の舞台になった平塚の姉崎団地は、県営住宅で、1400戸。
6・4.5・3とダイニングの3DKで、24世帯ずつの60棟ぐらいの集合住宅があり、平塚の郊外に建設された新興住宅地である。
事件の3日前に、豊川一家は夫婦と子ども二人で、空き家の募集に当選して、引越してきた。その時幸子が小淵と会っている。
その時のやりとり。
「この上のものだが。近所に挨拶回りはしたかね」
「はい、あのう、一昨日越してきて夕方回りましたけど、上は両方ともお留守でしたから」
「そうか、それならいい」
幸子はそれからすぐに、子どもの佳子に「エチケットにうるさい団地だわよ。挨拶回りをしないと催促されるんだから」といって、
急いで封筒をもって、上に行き、小淵に挨拶している。
「どうもさきほどは失礼しました。305に引越してまいりました豊川でございます。遅くなりましたが、どうかよろしくお願いいたします。」
「そんなものはいらん。挨拶をすればよい。この下のように、いまだに挨拶に来ないのもいる。」
その直後の幸子と後被害に会う志津子の会話。
「挨拶回りが遅いって叱られたわ」
「そのくらいのことはいうひと。変人だから、気にしないほうがいいわよ。階段で会ってお辞儀しても、返事もしませんよ」
「誰にでもですか?」
「子どもたちが、おじちゃん、こんにちは、といっても、知らんふり」
「さえ。魚釣りに行くくらいで、家にごろごろしているわね。かおりがピアノを弾くのがうるさいって、奥さんに怒鳴りこませたことがあったわ」
「まあ」
「おたくで、かおりのピアノ、うるさいですか?」
「いいえ。そんなことないわ」
ピアノの音が聞こえることは分っていて、一番離れた部屋で、テレビをつけていれば聞こえない程度だったが、それを幸子はだまっていた。このやり取りで、団地の人間関係のいくつかがわかる。幸子と志津子は初対面であるのに、すぐに親しくなっている。
しかし、それはある「変人」を媒介にしてである。小淵は幸子に話しかけたことで、実はとても親切にしてあげたという、普段あまり経験しない感情をもって、しばらく心を落着けていたのである。
54 名前:以下、VIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/18(日) 02:09:59.91 ID:bz5WvwI20
被害に会った宇田一家は、1970年の6月に、小淵に2月遅れで、小淵の階下に引越してきた。父親の俊はまじめな努力家の労働者で、嫌な仕事も黙々とするので、雇用主に気にいられるタイプであった。
妻の志津子は社交的で、彼女が応募してこの団地に入った。
俊の勤め先からは遠かったが、狭いアパートから抜けだしたかったので、大変喜んでいた。
かおりとみどりという二人の女の子がいた。音楽が好きだった志津子は、団地に入ってからかおりにピアノを習わせるようになった。
事件は1974年8月28日のことだった。
小淵はこの1週間前にスーパーで包丁を買っていた。
宇田俊は朝出かけた。小淵はそれを待っていた。俊には体力的に負けるといつも考えていた。
朝からピアノの音がするので、宇田志津子と次女のみどりがごみを出しにいって、
長女のかおりがピアノを弾いているときに、階下に降りていって、まずかおりを刺し、
かえってきたみどりを、残虐な方法で殺し、そして、その後帰った志津子を刺した。そして、その後襖に俊宛ての言葉を書いている。
迷惑かけるんだから
スミマセンの一言
位言え、気分の
問題だ、来た時
アイサツにもこない
し、馬鹿づらして
ガンとばすとは何事だ、
人間殺人鬼にはなれないものだ
その後電話線を切断して、豊田幸子に階段で会うが、部屋に戻ってから逃走した。
ピアノ殺人事件-2chの怖い話・都市伝説のまとめ