あれは小学6年の夏休みの事でした
友人のHとTが角田の森で遊んでいた時、Hが奥の廃屋へ行ってみようと言い出した
そうです
当時、私達は角田の森でよく遊んでいましたが、それは道路に面した崖の様に反り
立った部分から飛び降りたり、
木のツルにぶら下がってターザンの真似事をしたりといったもので、森の中へ入る事
はありませんでした
もちろん廃屋があることは知っていましたし、一部の怖いもの知らずの先輩や同学年
の子がその廃屋に忍び込んで
何かを見たという噂も聞いてはいましたが
まだ日の高い日中でしたが、Tはどちらかというと臆病な性格だったので「やめたほ
うがいい」とHに言ったそうですが
聞き入れず、結局Hが一人で廃屋に行き、Tは森の崖の上で待つ事になりました
Hが森の奥に消えてから数分が経った頃でしょうか、突然「うわぁぁぁぁぁ!」とい
う叫び声とともに
物凄い形相のHが森の奥から飛び出してきたのです
ただならぬ雰囲気を察したTはHの先に立って一目散に逃げ出し、二人は死に物狂い
で走って近くの寺の境内に駆け込みました
息を切らせながらTがHの顔を見ると、その顔は青ざめ、目はうつろでした
ただ左の頬だけが赤く染まっていたそうです
何も話さないHを心配し、Tは自分の家へHを連れて行きました
ようやく落ち着いてきたHは、廃屋で何があったのかを語り始めました
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