今から5年程前の大学時代、俺は友人二人を連れて心霊スポット荒らしをしていた。いわゆる肝試しのようなものではなく、(もちろん普通の肝試しの要素も含んでいるが)曰くつきの場所に行っては飲めや歌えのどんちゃん騒ぎをやり、他のグループがいればドライアイスや挽肉などの小道具を使い、そいつらを脅かして反応を楽しむ、というものだった。(片付けはちゃんとしてたよ)女もおらず金もなく、あるのは時間と若さだけという俺達にとって、心霊スポット荒らしは絶好の暇つぶしだった。
しかし、そんなことをしていれば当然いくらか霊体験をする。今日は数あるエピソードの内の一つを書き込もうと思う。状況を明確に伝えるために、多少脚色された芝居がかった台詞や説明くさい台詞が出てくるが、基本的には全て現実に起こったことである。
大学二年の夏休み、俺達はS県にある「出る」という噂の廃屋で宴会をする計画を立てた。そこは、「住んでいた家族が一家心中した」とか「強盗に一家全員惨殺された」とか「狂った父親が家族全員を殺して食った」などという胡散臭い噂のある場所で、幽霊の目撃例もかなり多かった。
ど田舎で辺りは緑に囲まれており、騒ぎまくっても問題ないだろう。幽霊が見れたら万々歳だ。というのがそこに行くことを決めた理由だった。
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