昔、まだ学生だった頃、サークルの仲間と旅行に行った。メンバーのほとんどが貧乏学生だったんで、友達に聞いた、安い民宿で泊まることにした。
民宿のすぐ隣に、古そうな小屋みたいな家みたいな建物が建っていた。ボロいんだけど、妙にでかい。その建物を見て、メンバーの中の霊感強めの女の子が震えだした。
「2階がヤバイ。」
「こっちを見てる。」
みたいなことを言って、
「こんなところには泊まれない。」
って、帰ってしまった。
夜、メシ喰って花火もして、何だか退屈になってきたんで、隣のでかい建物に行ってみよーぜってハナシになった。女の子のうちで2人は反対したんで、男5人、女2人。
いざ来てみると、けっこう雰囲気が怖い。一階にでかい戸があって、開けてみると、納屋っていうか、農機具とかが置いてある土間だった。天井で、ゴトゴトと何かが動くような物音がしたと思うと、外にいた奴らが
「電気ついた、電気ついたよー。」
と言いだした。いったん外へ出てみると、上の方の窓から明かりが漏れている。
「やばいって。」「怒られるんじゃねー。」
みたいなこと言ってると、窓が開いて、にゅっ と首が出てきた。明かりが逆光になって顔が黒い。俺はかなりびびっていた。すると、その首の持ち主が手招きした。
「おーう、そんなとこにいないで、上がってこいよ。」
意外に若そうな声だった。ちょっと安心した。酒もあるし、という誘いにのって、じゃあ上がろうかってことになった。
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