ナナシ−ナナシシリーズ

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今から数年前、僕と僕の友人だった人間が、学生だったころの話。
ときは夏休み、自由研究のため、友人・・・仮にナナシとするが、僕はそのナナシと、『心霊現象』について調べることにした。
ナナシはいつもヘラヘラしてるお調子者で、どちらかといえば人気者タイプの男だった。
いるかいないかわからないような陰の薄い僕と、何故あんなにウマがあったのかは、今となってはわからないが、とにかく僕らはなんとなく仲がよかった。
なので自由研究も、自然と二人の共同研究の形になった。
また、心霊現象を調べようと持ち掛けたのは、他ならぬナナシだった。

「夏だし、いいじゃん。な?な?」

しつこいくらいに話を持ち掛けるナナシに、若干不気味さを感じながらも、断る理由は無かったし、僕はあっさり OKした。
そのとき僕は

『ナナシはそんなにオカルト好きだったのか。そりゃ意外な事実だな』

なんて下らないことを考えていた。

「どこ行く?伊勢神トンネルとか?」

僕は自分でも知っている心霊スポットを口にした。
しかしナナシは首を横に振った。

「あんな痛いトコ、俺はムリ」

そのナナシの言葉の意味は、僕は今も理解ができないままでいる。
何故『怖い』ではなく『痛い』なのか、今となっては確かめようがない。
だが、ナナシは確かにそう言った。
話を戻すが、ナナシは僕が何個か挙げた心霊スポットは全て事々く却下した。
意見を切り捨てられた僕は、いい加減少しムッとしてきたが、ちょうどそのとき、ナナシが言った。

「大門通の裏手に、アパートがあるだろ。あそこにいこう」

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落ちていくもの−ナナシシリーズ

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屋上にはナナシがいた

あの悪夢のようなアパートでの事件から数カ月が経ち、僕とナナシはまたお互いに話をするようになっていた。
初めのほうこそ多少ギクシャクしたが、結局ナナシに不思議な力があろうがなかろうが、あの女の人がどうであろうが、ナナシはナナシで僕の友達だということに変わりはない。
僕はあの日のことは記憶の底に沈め、ナナシと普通に話すようになった。
ナナシも今までと同じようにヘラヘラ笑って話掛けてきて、僕らはすっかり以前のような関係に戻っていた。
そんな、矢先のこと。
そろそろマフラーやらを押し入から出さないとな、なんて時期の授業中。
それは起きた。


教室では窓際の最前列に目の悪かった僕と委員長の女の子、その後ろにナナシと、アキヤマさんと言う女の子が座っていた。
その頃、その窓際席の僕ら4人は授業中に手紙を回すのを密かな楽しみにしていた。
つまらない授業の愚痴や、先生の悪口を小さいメモに書いて先生が見ていない隙にサッと回す。
もしバレても委員長がごまかして僕らが口裏を合わせることになっていたし、端とはいえ前列で手紙を回すのはちょっとしたスリルだった。
そしてそれは、たしか3時限目あたりの国語の授業中。
どこの学校にも一人はいるであろうバーコードハゲの教師が担当で、今にして思えば大変失礼だが僕らは彼の髪型をネタに手紙を回していた。
くだらないことをしていると時間が過ぎるのは早く、すでに何枚か紙が回され授業も半ばを過ぎた。
そのときだった。
教科書に隠しながら手紙を書いていた僕は、ドン、と何かに背中を突かれた。
どう考えてもそれは後ろの席のナナシで

『まだ書いてるのに、催促かよ』

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手−ナナシシリーズ

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屋上にはナナシがいた

学生時代、まだ桜も咲かない3月のその日。
僕はクラスメートのアキヤマさんという女の子と、同じくクラスメートの友人の家に向かっていた。
友人は仮に名をナナシとするが、ナナシには不思議な力があるのかないのか、とにかく一緒にいると奇怪な目に遭遇することがあった。
そのナナシがその日、学校を休んだ。
普段はお調子者でクラスの中心にいるナナシが学校を休むのはすごく珍しいことで、心配になった僕は放課後見舞いに行くことにした。
そこに何故か「私も行く」と、アキヤマさんも便乗したわけだ。
とにかく僕ら二人は連れだって、ナナシの家に向かった。
ナナシの家は、学校から程遠くない場所にあった。
僕はナナシと親しくなって1年くらい経つが、たまたま通りかかって

「ここが俺ん家」

と紹介されることはあっても、自宅に招かれたことはなかった為、少しワクワクしていた。
ナナシの家は、今時珍しい日本家屋で、玄関の門柱には苗字が彫り込まれていた。

「・・・やばい家」

アキヤマさんが呟く。
僕はこのとき

『確かにヤバイくらいでかい家だな』

なんて思っていたが、今にして思えばアキヤマさんが言っていたことは全く違う意味を持っていたのだと思う。
それは『今となっては』言える話で、あのとき僕がこの言葉の意味に気付いていれば僕らとナナシには別の未来があったかもしれないと悔やまれるが、それは本当に今更なので割愛する。


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