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あれは俺が事故で入院した頃だからもう10年も前の話だ。
今日はその時入院した病院での恐怖体験を書いてみる。
俺は病院が嫌いだ。今思い出しても鳥肌が立つ、忌々しい体験だ。
高校を卒業した俺は地元の専門学校に入った。しかし入学式から
1ヵ月くらいした頃、俺は車に撥ねられ右足を骨折。全治3ヵ月
で事故現場近くの病院に入院することになった。そこはいわゆる
「出る」 ことで地元では有名な病院だった。
「なんでよりにもよってこの病院なんだよ・・・」
俺は全力で落ち込んだ。俺を撥ねた会社員さんが毎日仕事帰りに
お見舞いに寄ってくれたが、元気のない俺を見てさぞかし心を痛
めたことだろう。いや違うんだ、骨折で落ちこんだんじゃあない。
この病院に入院しちまったことが悲しいんだ。
病院は後は山、前は川という立地だ。裏山には古びた墓地があり、
周りは鬱蒼とした森に囲まれていた。病院に入るには細い石橋を
渡ってこなければならず、その橋の手前には、センターラインの
消えかかった暗いトンネルがある。そのトンネルも出ると噂され
ている。
事故直後、救急車で運ばれた俺は入口から入る時、たくさんの窓
から青白いの顔が覗いているのが見えた。もちろん生きてない人
の顔だ。台車に寝かされカラカラと手術室に向かう途中、ぼんやり見
ている天井から、数本の足がブラブラとぶら下がっている。
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